気がつくと・・・・・・・・厄介者になっていた。
遠い昔から「私」は静かに眠っていた。
長い長い間、静かに眠っていたのだけれど、
「私」の親戚や友人達は、誰かに見つけられ始め、
どんどん、どんどん居なくなり始めた。
聞くところによると、他の所に移されて、拷問を受けているらしい。
それも並大抵な拷問ではないという。
目が廻るほど廻されたり、火あぶりに晒されたり、
身体そのものを内側からバラバラにすることもあるという。
支配者は「私達」を支配し、蔑み、利用し、捨ててきた。
好き勝手に「私達」を使ったって訳だ。
恨み骨髄という感情は沸き起こってくるが、支配者には通じない。
時々仲間から聞く話で溜飲を下げる程度である。
「あいつら同士の殺し合いで、大勢あいつらが死んだらしいぜ」
「俺たちの仲間も、その殺し合いに手を貸したらしい」
・・・嬉しくもあるが、被支配者としての感情に過ぎない。
こんな話もある。
支配者が「私」に付けた名前を、その子供達は親しみ深く使っているらしい。
傷つけられ苦しんでいることも知らず、「ちゃん」付けで呼ばれることもある。
支配者の中にも、実は「私達」を苦しめることで恩恵を受けてることに
感謝し、有難がっている者が少数ながら居るらしく、
このままでは神罰が下ると恐れている者もいる。
しばらく前の事、「私達」のある者が反乱を起こした。
支配者層に大きな打撃を与えた。その後ある者は封じ込められた。
封じ込められたが、呪いの言葉を呟きながら深く静かに反撃の機会を
うかがっている。
そして今、ようやく「私」の番が来た。
「私」は、しばらく前のある者を見習って、支配者に反乱を起こした。
反乱を起こしてみて、ようやくわかったことがある。
彼等支配者は「私達」を恐れていたのだ。
彼等自身が「私達」に拷問を加えることで、「私達」はとんでもない能力を発揮し、
彼等自身でも制御できないほどの破壊力を持つことを恐れていたのだ。
「私」の反乱は彼等に大きな打撃を与えるものの、
たぶん彼等は「私」を封じ込めることだろう。
しかしながら、「私」の反乱は彼等の支配体制に影響を及ぼすことになる。
なぜなら、「私」と同様の反乱を企んでいる仲間はいっぱいいるし、
自然の営みも、それを後押ししてくれているのだから・・・・。
後悔することなく封じ込められてやろう。
「私」も深く静かに反撃の機会をうかがうのだ。
支配者は必ずや、自らを滅ぼすことになる。
「私」が呼ばれている名は・・・・・元素記号92「ウラニウム」
「私」はただ、地球が生まれる時に出来、静かに眠っていただけなのだ。
・・・・・気がついたら・・・・・厄介者扱いされていた。
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